提案型議会への挑戦
地域経済再建へ議員発議
静岡県中小企業の受注機会増大の促進に関する条例が可決
■条例策定に向けた意見交換

■条例策定に向けた意見交換


 自民党の政権復帰から1年半。景気回復への期待が膨らむなか、株価の回復や円安の進行など全般的には効果が見られるものの地方経済では厳しい状況が続いている。
 特に製造業を中心に企業集積が進んできた本県では、海外進出による産業の空洞化が深刻で、県内の中小製造業の中には、新たな取引拡大が未だ実現していないところも多い。昨年末の日銀短観の景況感、全国ワースト1位は端的にこの事を物語っていた。
 今春からの消費増税を踏まえ自民党県議会では、中小企業の経営改善こそ景気回復の優先事項として、昨年8月からプロジェクトチームを編成、『(仮称)中小企業支援条例』の策定を目指して、景気状況、中小企業振興策の調査、研修を進めてきた。そして、防災対策として進められる国土強靭化の公共事業費の増額に着目して、地元発注率全国トップを誇る新潟県を参考に、新たな条例制定に取り組むこととなった。
 商工会議所、中小企業団体中央会、静岡経済研究所、建設業協会等、県内各種の団体との意見交換を経て、他の会派へも協議を持ちかけ、数回の会議を開催して条例素案を創り上げた。
 このプロジェクトチームは天野進吾県議を代表として、相坂を含む自民党県議3名が参加、専門部会として進められ、この2月議会に条例案を上程、議員全員一致で成立した。
 条例では、県が発注する公共工事、労務・物品等の購入契約において、県内中小企業の受注拡大を目指すこととし、同時に県産製品の需要喚起の必要性を明言。
 本県の地元発注率は平成24年度実績で74%程度に留まっており、新潟県の87%とは大きな隔たりがある。今後は条例の趣旨を反映して新たな施策展開を図ることとなり、効果的な地元への経済対策を期待したい。
中央リニア新幹線 高速移動は本県に何をもたらすか?
■ユネスコエコパーク申請中の南アルプス

■ユネスコエコパーク申請中の南アルプス

 今年3月25日、川勝知事から事業者のJR東海へ、『環境影響評価準備書』への意見が提出された。
 JR東海から準備書が提出されたのは昨年9月18日。以来半年間、県では環境影響評価審査会を計5回開催し、今年に入ってからは、大井川流域の7市2町の首長、静岡市長に加え、県議会くらし環境委員会、静岡市選出県議団からも知事宛の意見書や要望書が提出されてきた。
 さて、この中央リニア新幹線とは、2027年の開設を目指す高速移動機関で、東京〜名古屋間の286キロをノンストップなら僅か40分で結ぶというもので、最高速度は505q/時にも達する。
 移動時間の短縮による経済効果、スピードを追求することによる技術革新は、果てしなく人類の夢に近づこうとする歩みに違いない。
 しかし、神奈川、山梨、静岡、長野、岐阜という中間ルートのうち、停車駅を持たないのは本県だけで、県域を横切る10.7キロは、いずれ世界自然遺産登録をも目指す南アルプスの中腹に位置し、目下、ユネスコエコパークへの登録を申請中だ。
 期間10年、総額10兆円にも上るとされる建設工事が、環境保全を前提としたエコパークと果たして両立するだろうか、関係者からは不安の声も多い。
 更に、トンネル掘削による大井川水量の減少、工事に伴う発生残土の処分や工事関係者の生活排水問題も深刻で、騒音や大気、生態系への影響も含め、今回の知事意見には、実に119項目もの懸念材料が列記されている。
 現場の地方自治体からこれほど多岐に渉る指摘を行わなくてはならないことこそ、いかに国家プロジェクトとはいえ、現行の環境影響評価法の不備に他ならないのではないか。
 今のままでは、工事が始まって仮に大井川の水量が減少し、企業活動や住民生活に水の枯渇が発生した場合であっても、その因果関係を調査し立証する責任が誰に帰属するのか、一切が不明なのである。
 県は今後、環境監視体制を確立して組織化を図る方針で、ここに事業者も参画するよう協力を求めているが、今のところ参加の表明はない。
 リニア停車駅を持たない本県にとっては、開通による現存の東海道新幹線の乗客数変化も深刻で、どのような経済的影響を被るかにも不安が残る。
 今後は、今回の知事意見を踏まえてJR東海が評価書を作成し、国土交通省への認可申請を行うこととなる。ここでどのような改善が見られるか、まだまだ予断を許さない情況が続く。
政策提言への取組み
動き始めた静岡モデル 津波から命を守る、犠牲者ゼロへの挑戦
津波対策の限界


 平成25年6月『静岡県第四次被害想定』発表、11月『静岡県地震・津波対策アクションプログラム2013』策定、そして今年2月10日『第一回静岡モデル推進検討会』の開催。
 東日本大震災の発生から3年。本県が備えるべき地震の種類と想定される被害状況が特定され、本県がなし得る対策の全貌が漸く決定した。そして残された課題が明らかになった。あの震災を教訓に、あくまでも被害者ゼロを私たちは目指していかなくてはならない。
 県は今後起こり得る地震をその規模に応じて2種類に区別。1つは100〜150年に1度発生すると言われるこれまでの東海地震クラスで『LEVEL1』(以下L1)、もう一つは南海トラフで発生する千年に一度の大地震で、津波被害は東日本大震災クラス。これを『LEVEL2』(以下L2)とした。
 そして、今の整備状況のままL2地震が発生すれば、多くの防潮堤が根底から崩壊して津波が押し寄せるとして、その被害は死者10万5,000人と発表された。最大の津波高は下田市で30メートルを超えるとされている。
 しかし現行制度では、L1の津波対策には事業費の2分の1が国から補助されるが、L2対策への助成はない。本県の海岸線は延長505キロにも及び、県がアクションプログラムで整備する防潮堤の嵩上げや強化は全てL1対策で、全ての必要工事が完成するまで10年を要すると見込んでおり、その予算は4,200億円にも上る。そして、この対策が完了すれば、たとえL2による津波が発生しても被害の8割を軽減できるとしている。
 これはつまり、L2に備えた防潮堤等のハード対策は、向こう10年県が主体となっては実施できないということであり、10年後であっても地震や延焼、津波襲来によって約2万人の犠牲は残るということである。これが私たちに残された防災の課題である。
 これから私たちが創り上げる静岡モデルとは、この残された課題への挑戦なのだ。

静岡モデル構築への挑戦
■避難タワー併設の新中島浜公民館

■避難タワー併設の新中島浜公民館


 今年2月、県と静岡市の担当職員で構成する静岡モデル推進検討会の第一回会合が開かれた。
 会長には県交通基盤部の河川企画課長が就任、現場レベルの職員構成に現実的な対応が期待される。
 本市駿河区の静岡海岸、用宗漁港海岸には、L2の際には最大12メートルの津波が到来する。L1対策によって嵩上げし粘り強い構造へと強化する高さ八メートルの防潮堤なら、現時点での被害想定の死者を八割軽減できることになるが、L2での津波浸水は防ぎ切れない。
 地震発生から津波襲来まで15分以上の猶予があれば、住宅から500メートル以内に設けられる避難ビルやタワーへの避難で命を守ることはできるが、津波到達まで10分に満たないエリアでは逃げることは不可能、襲来を防ぐしかない。駿河区で求められる静岡モデルとは、10年間のL1対策を施しても住宅街への襲来を防ぐことができないエリアへの対策であり、繰り返しになるが、これへの国県の津波対策の予算措置は現行制度では不可能なのだ。

 だからこそ、私は以下を提言する。
地震発生後10分以内に津波が到達するのは、石部、用宗漁港周辺、広野、中島浜沿岸部、浜川沿、大谷川放水路沿、そして久能地区それぞれの一部である。L2を想定した津波対策の予算が確保できないならば、別の事業の中で、嵩上げを図るしかない。
 例えば、公園整備事業を起こして盛り土をし命山を建設する、漁港整備事業において水門や壁面を強化する、農地の土地改良事業で高地化する、河川堤防の増築、国道150号線の4車線化工事に合わせて道路を嵩上げするなどだ。これまでの予算運用では考えられない施策には違いないが、私がこれまで調査した限り、現行制度ではこれら以外に津波から身を守る方法はない。新規に起こす事業もあれば現在動いている事業を変更するものもあり、取り組みを加速させるためには民間からの寄付を原資に基金も作らなくてはならないだろう。
 新年度から静岡モデル推進検討会に参加している市職員が、それぞれの地域でどんな対策が望ましいか、検討を持ちかけることになるが、この取組みに連動して、私も行政と沿岸部住民への理解と協力を求め、事業実現へと動き始めるつもりだ。
学力向上の鍵は生活の中にある 全国学力学習状況調査


 昨年度行なわれた全国学力学習状況調査で、小学生の国語、知識の分野で全国ワースト1位という結果となった。以来、知事と県教育委員会との間では、教委事務局のあり方や授業内容の改善、教員の指導力が争点となり、私たち自民党では、親学の推進を図る条例の検討に着手するとともに、県議会本会議では補助教材の選定方法が取り上げられた。
 子ども達の学力をいかに伸ばしていくか、という視点で考えれば、知事が主張するように、優秀な教員が学校の教育現場から離れて教委の事務仕事に従事するという事は非効率である。そして、平成26年度予算においては、子どもの学力向上を狙って、学び方を支援する非常勤講師の配置に約3億円が計上、可決された。更に児童・生徒の学力定着に大切な反復練習用などの補助教材は、現場教員の意見や子ども達の習熟度の分析を通じて選定されるべき事が確認され、今年度は教材選定方法の徹底を図ることとなる。
 さて、本県のこうした議論とは別に、この調査で毎年全国上位に登場する県がある。秋田県である。一人ひとりの児童・生徒の学力分析にいち早く取り組んだ成果だと言われるが、近年は違った評価がなされているようである。
 秋田県や福井県など、児童・生徒の学力上位県では、意外にも、塾通いしている子どもの人数は極めて少ない。私立学校の普及が目立っている訳でもないため、宿題や勉強一色の児童期を過ごしているという訳でもなさそうだ。さて本県との違いは何だろうか。
 幼児期からの詰め込み教育、受験型教育をまるで嘲笑うように、答えは生活の中にこそあるようだ。両県の特徴は、核家族化が遅い、という点にある。農家が多い土地柄か、家族構成は三世代同居が当たり前で、生活リズムが安定、朝食をちゃんと食べている子どもが多い。
 これはつまり、子ども達の生活リズムや変化に大人たちの目が常に行き届いている、ということではないだろうか。一昔前なら当たり前の日本の暮らしこそが高い学力の鍵を握っているのだ。
 近年、保育園の待機児童を解消することが行政の責務のように取り沙汰されているが、幼児期、児童期をどんな生活環境に置くことが子ども達の成長に大切なのかは、なかなか議論されない。待機児童という発想自体が大人の視線だ。そして、授業改善や教員数の充実等は、実は小手先のテスト対策でしかないとも思えてくる。
 労働力減少、女性の自己実現という時代の中で、学校だけでもなく、家庭だけでもない、子ども達に必要な教育とは何かという視点での制度構築が必要である。

新鮮な海産物の地産地消 用宗漁港、市場活性化への挑戦


 昨年9月22日、用宗漁港で定期的に開催されている『なぎさ市』に伊豆産のサザエが並んだ。県市行政が地産地消を掲げながら、県内水産物の多くは、水揚げ後仲買業者から東京築地へと取引されている。
 昨年8月、用宗のシラス漁に私は初めて参加した。早朝日の出前から出発。漁船三隻が連携する漁法で、この日は27団、計54隻が駿河区近海の漁場で網を引いた。ご承知の通り、近年のシラス漁では好調、不調の差が激しく、この日は残念ながら芳しい成果が上がらず、予定よりも出船回数を減らした。一定以上の量が見込めなければ、高騰するガソリン代、つまりコストをカバーできないからだ。シラス漁では、網元といわれる漁船の所有者と被雇用の漁師、計7人が一団に参加するのが一般的で、それぞれが受け取る報酬は、全てその日の漁獲量によって決まる。不漁が続けば生活を直撃するのが現実だ。そして、禁漁期ばかりでなく不漁の日々にも、若い漁師たちが別の収入を求めてアルバイトをこなしているという話にも触れると、職業としての一次産業のあり方について、急務の課題があることを知ったのである。
 漁港は市場である。獲った魚を取引する場であり、消費者へと続く入り口である。しかしながら、漁獲のほとんどは築地へと運ばれる。考えてみれば、市内飲食店でも獲れたての天然の魚を口にすることはごく稀な事だったのだ。地元にいながら実際には東京経由の運搬付加までをも消費しているという事態。
 必要なのは、流通の簡素化による地産地消の実現であり、そのための生産、流通、消費を結ぶ新たな地元主体のネットワーク構築ではないだろうか。県内の海産物は100魚種にも上り、豊富な水産資源がもっと地元PRに活用されるべきである。
 折しも用宗漁港は、冷凍施設の耐震補強で建替えの機運が高まっており、漁業関係者の津波避難タワーの整備も予算化されたところである。この耐震補強による新施設には、強化された市場機能、県内海産物の直売所等を入れ込み、市内飲食業者が集まって賑やかに取引する姿を目指したい。
 地域の独自性を発揮して人集めを…。口にするのは簡単だが、人が集まる仕掛けは経済である。今後は伊豆で獲れる豊富な海産物を用宗に運ぶ手段を、海上も含めて検討するつもり。近い将来、県内海産物を新鮮なまま地元で消費できる、賑やかな空間を実現したいものだ。

■用宗漁港でのシラス セリ市場

■用宗漁港でのシラス セリ市場

■下関市・唐戸市場 直売所

■下関市・唐戸市場 直売所